鉱物コレクションは『産地がキモ』で、珍しい産地の石を仕入れた時はどんな場所なのかを調べることが多い店主です。
以前ショップに出したコロラドのミルキークオーツの産地。
モソモソ調べているうちに深みにハマり、なんと専門誌を1冊を買うハメに。(それくらい情報が少ない…)
こりゃ、ブログの記事にでもしないと元が取れないよっ!(笑)ということで産地情報をまとめてみました。
コロラド産ミルキークォーツの産地
コロラド州南西のOuray County(郡)中心の町から少し南に行ったところに水晶の産出エリアがあります。ここは「アメリカのスイス」と呼ばれているらしくGoogleストリートマップでチェックしてみると、確かに風向明媚な山間部といった感じ。
この辺りは石灰岩の鉱脈があり、昔から色々な鉱物が産出します。ミルキークォーツは、”リードヴィル石灰岩”脈の亀裂が空洞になったポケットから出てくるそうです。
ミルキークオーツは1990年代に初めて見つかりました。採掘しているのは主に個人の鉱物コレクターさん達で、自分達が発見したポケットにユニークな名前をつけています。
Leaning Tree Pocket
1993年に発見されたポケット。近くに古い”Leaning Pine Tree”(松の木)があったので命名。
1998年に再調査した時、パイナップルやマツボックリのような形のミルキークオーツを発見。65ポンドもの水晶が取れたようです。
その時、ポケットは「げっ歯類の動物」の巣穴になっていて、ドキドキしながらそこに腕を突っ込んで穴を掘ったとのこと。(^^;;
ショップに出ていた2つのクラスターは、98年の再調査に参加した”Robert Stoufer” 氏が2014年に採取したものです。
Second Chance pocket(Meteor pocket area)
上のツインクオーツの産地なのですが、残念ながらこのポケットの情報は見当たらず。唯一の手掛かりは、Meteor pocket のエリアということ。(Meteor pocket については下記参照)
外見の特徴は、Meteor pocket のものとほぼ一緒だし、結構近くのポケットではないかと店主は踏んでいます。
ショップに出ているツインクオーツは、Meteor pocket の発見者でもある”Carl Auclair” 氏が1990年代に採取したものです。
Meteor pocket
有名なポケットなので、ご存知の方も多いかもしれません。1997年の5月17日。コロラド上空を隕石が通過し、産地のエリア(The Amphitheater)に落ちたらしいぞ!というので”Carl Auclair” 氏は隕石を探しに行きました。
結局、隕石は見つからなかったけど、水晶のポケットを発見!
掘ってみると18cmもの立派なミルキークオーツの結晶が出てきました。他のポケットのものにはない、高い光沢とワニ皮のようなテクスチャーの水晶です。
こりゃスゴイぞと、仲間を1人連れて2つのポケットを掘ってみると14cmのDTのミルキークオーツを始め8本の水晶が出てきたとのこと。
このポケットのミルキークオーツ、日本では"メテオラクオーツ"と呼ばれています。「隕石のクレーターから云々」と謳ってますがこの内容からするとちょっと違うようです。
希少なコロラド産のミルキークォーツ
この産地エリアには他にもポケットがありますし、2001年の記事ということもあって、その後も新しいポケットが発見されています。私有地なので誰でも入れる訳ではありませんし、ポケットの位置は発見者かその関係者しか知りませんので、ごく限られた人しか採掘できない水晶です。
記事によると水晶の採取は相当大変なようで、ポケットの中から大量の泥をかき出したり、結晶に傷をつけないよう数日かけて少しづつ削りだすように取り出したり「好きじゃなきゃ出来ないよなぁ」的な苦労話も満載でした。
熱き「石好き魂」(笑)で掘り出されたコロラドのミルキークオーツ。
コロラドの大自然と採掘してくれた勇者たちに思いを馳せつつ、眺めてみるのも楽しいと思います。
<参考文献>
「Rock & Minerals Vol. 76」 2001, September/October
地図画像もここからお借りしました
※この記事は上記の記事が元になっています。ザックリな訳&店主のプアーな英語力ですので、細かい間違いがあったらゴメンなさいということで。